クーラーに関しては、海水魚は別として、大型熱帯魚、特に龍魚だけの大型水槽について、当社は以下の理由で不要と考えており、当社の大型水槽のユーザーに対しても、同様のアドバイスをしている。
1.クーラーはコストパフォーマンスが低い。(要するに大型水槽用クーラーは価格が高い!)そんなお金があれば、ひと回り大きい水槽へ回すことと、強力なエアレーションをすることとの両方へ投資したほうがよっぽどいい。それでもおつりがくる!とにかく、エアレーションが大切。わずか数万円の投資で莫大な効果が出る。
2.龍魚は高温に強い。35℃までなら、しかも2ヶ月以上続かなければ顕著な悪影響は発生しない。日本の夏でさえ異常高温が2ヶ月も続くとは考えにくい。さらに、水中蛍光灯の使用は真夏の高温防止を考えると、龍魚飼育にはおすすめできない。(夏場にさらにヒーターをつけると愚行と同等の悪影響がある。)
3.当社の5m(9トン水槽)〈よく話題になる6m25トン水槽ではない〉でサーモが故障し、38℃が約20時間続いた事故が1996年に発生した。(この事故以来当社はサーモを消耗品と考え、耐久商品としては信用していない。)この事故で、40㎝級のダトニオは、全滅したが、25匹のアロワナは全匹無事であった。※意外なことに、9匹の四万十川産の国産アカメも、全匹無事であった。何事も事実を経験してみなければわからない!!推定や憶測で、ものを言うショップや本が多すぎる。尚、これら9匹のアカメは2000年2月10日現在でも、7匹が健在で(2匹は水族館へ売却したが、そこで元気に暮らしている。)90㎝級の巨大魚に成長している。
4.いくら高温に強い龍魚とはいえども、34℃~36℃(耐熱性に個体差がある。)を超える状態が続くことは、耐えられない。しかし、高価なクーラーを購入しないで、限度以上の高温を乗り切る方法はいくつかある。当社ですすめている方法のひとつを以下に示す。現状ではこの方法が一番有利であると、当社当社は考えている。
①濾過槽のフタを解放して、工業用扇風機(大型の40~100W程度のものを、ホームセンターで、≒4.000円~15.000円ぐらいで販売している。)を水面になるべく近づけて回す。これにより気化熱で、水温はかなり低下する。当然どんどん水が気化(蒸発)するので水の減りは激しいが、いずれにせよ換水は必要であるし、水道代も知れているので、どんどん注水すれば良いだけの話である。
②この時期だけ照明量を落とし、水槽のフタの一部、あるいは全部をステンレス金網等に替え、①と同様に工業用扇風機(もちろん家庭用扇風機でもよいが)で、水面を直撃し、蒸発を促進させる。
③当然、水中蛍光灯は高温防止の観点からも、使用してはならない。別の観点からも、水中蛍光灯は害が多い。
上記の①、②、③の一部、あるいはすべてを程度に応じて使い分ければ、水温を3~4℃下げることが可能である。何も、25℃や28℃にまで、高価なクーラーを購入してまで、下げる必要は龍魚では必要ない。例えば38℃を、34℃にまで下げて、一定時期を乗り切れば良いのだから。当社からのお願い。予算が余って大型水槽用のクーラーの購入を考えているユーザーは、より大きい水槽へその分の費用を振り替えて下さい。※当社の、そして龍魚の立場から見ても、さらにユーザーの立場からでも、その方が有利だど主張したい。
〈オマケ〉28℃以下を保つ必要のある海水魚より、33℃でも平気な龍魚の方がペットとしては、よほど扱い易いですね。やはり人間にとって最良のペットです。
2000年発行ルナティックドラゴンVo.2より転載。文責・当社・渡邊